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「里山と共生するゴルフ場」の取組み⑦

自然環境保護を考慮したコースメンテナンス

ウッドフレンズ森林公園ゴルフ場ではISO活動にて環境方針「貴重な自然との共存」を制定しています。
ゴルフ場の運営で環境に一番影響するものをコース管理のメンテナンスと考え、農薬・劇薬等の使用を低減するという目標を掲げました。
コースコンディションのクオリティを高く設定しながら薬剤の使用量を低減するという通常では逆効果の結果が出る内容です。
この難しい課題をクリアするため、薬剤の利用の考え方の変更や薬剤の選定の知識力の向上、病気になりにく強い芝生作りを行うなど
薬剤に頼らないコース作りの努力を行いました。その結果、薬剤使用量の減少傾向に成功しました。

県営から受け継いだ時点では一部のお客様から「ゴルフ場ではなく牧場」と言われるほどコースコンディションが悪い状態でした。
そのコースコンディションから自然環境の保護のため薬剤を出来る限り使わないでコースコンディションを良くするという
普通のコース管理作業では考え辛いことにチャレンジすることになりました。

以下がその取り組み内容です。

1.薬剤利用の考え方の変更
 芝生を管理するうえで病気予防のために薬剤を投与することは一般的であります。
 薬剤を投与すれば当然病気の確率は下がります。
 病気の発生予測は環境の変化もありは難しいですが、完全に対応しようとすると果膨大なゴルフ場の敷地全体に膨大な薬剤を投与することになってしまいます。
 そこで病気になり辛い強い芝生を育成し、病気になった部分を薬剤投与で対応するという方針としました。
 強い芝生を作るということは病気を予防するだけでなくコースのクウォリティを上げるうえでも重要なポイントです。

2.強い芝生を育成するために
 肥培管理をゼロから見直し1度白紙に戻して「独自の肥培管理」を計画を行ないました。

3.準備作業
 5点で3~4年かけて行いました。
 ・春秋年2回のサッチ分解剤散布を施行して土層3cmの有機物含有量を40%前後にする。
 ・ベント芝をとにかく徒長させないように抑制剤を利用して、刈粕を少なくする。夏場におけるフルクタン数値(貯金)を5.5前後にする。
 ・グリーンモアで刈る時に、リールの前にブラシを取付け(刈高4.0mmの時に下から2mm浮かせる)ベント芝を立てて刈る。
 ・春にしっかりした根張りをさせる。
 ・目砂として使用する焼砂の粒径0.35~0.55mmのシルトが少なく丸みを持った川砂を選択する。

4.薄目砂
 準備作業後、次に薄目砂(トップドレッシング)を行いました。
 この作業を他ゴルフ場では行わない、もしくは行っても年に数回が一般的です。
 しかし森林公園ゴルフ場では年間に50回程度行いました。
 目砂の量も通常0.3mmのところ、0.15mmに設定しました。
 少量多回行うことで8月の夏場でも成長点が保護され芝が活性してよく分けつします。

5.コア抜き
 ・GW後に8mmタイン(深さ10cm)1回と4mmタイン(深さ5~6cm)で3~4回実施しました。
 ・来場者5000人または20日に1度を目安に1年中8mmムクタイン(深さ13cm)
  または10mmムクタイン(深さ10cm)で更新作業を実施しました。

6.薬剤の選定
 薬剤自体も昔のものに比べると低薬量でも優れた効果を発揮するものが出てきています。
 環境保全を考え影響の少ない、無駄のない薬剤を選定して利用しています。
 それらの先端技術・知識を得るため日本芝草学会、日本植物調整剤研究会などで発表や講習会参加を積極的に行っています。


7.独自の肥培管理
 有機の肥料を使用し「土作り」を基本に考え、土壌環境を整えることで耐性のある芝生に仕上げています。
 スタッフの教育に力を入れることで一人一人のレベルを上げ、芝生に対する目利きを養うことが出来、
 コースコンディションに対して早めの対応が可能となります。これらには長期的な活動が必要となります。

こうした努力を続けた結果、芝生はコンパクションが維持でき、排水もよくなりゴルフプレイヤー目線でもクオリティの高いものになってきています。
お客様からはコースコンディションについて高い評価を頂き、またしっかりとした根も出来たことで多くの来場者(年間11万人以上)にも耐えられる芝生となり、
結果病気も少なく薬剤の投与する量も減っています。
ただ最後に付け加えると、コース管理作業は自然を相手とした作業です。毎年毎季節に気候の変化により発生する病気や害虫は異なるため、
毎年順を追って薬剤使用量を減らせるとは限りません。